先日LINEでの個人情報が中国や韓国に抜かれているのではないかというニュースが流れ、騒然としています。アシストマーケティングで社長を務める森田香央里さん的にも無関係の話ではありません。WebマーケティングやWebコンサルティングを生業にしようとしているため、LINEでのマーケティングや広告などを想定した事業に力を入れていこうと考えているからです。一方で、なぜ日本には国産アプリなどに乏しいのか、森田香央里さんは不思議に思っています。
若者が使うアプリに純国産が乏しい
最近の若者はTwitterやインスタグラム、LINE、TikTokなど様々なアプリを使っていますが、現状、これらのアプリは全部海外製のアプリとなっています。TikTokは中国の企業が作ったアプリであり、動画共有サービスの1つです。動画共有サービスといえばYouTubeが有名ですが、フランスのDailymotion、韓国のパンドラTV、中国のYoukuやbilibiliなどが有名です。日本の場合、ニコニコ動画が有名ですが、近年ニコニコ動画のプレミアム会員がどんどん減っていき、歯止めをかけきれていない現状があります。
またライブストリーミングサービスにおいても日本は苦戦を強いられ、ゲーム配信で使われるボイスチャットなども海外のアプリが使われるなど、なかなか日本発祥のメディアが日本ですらシェアを奪いきれない現状があります。なかなか浸透しないのは、新規顧客を獲得しようと営業活動が必死になり、それで敬遠されるからではないかという見方もあるようですが、LINEに代わるアプリもなく、日本でシェアを奪っても日本でしか使われないアプリであるなど、世界シェアを奪いきれない現実があり、森田香央里さんは嘆きます。
国が力を入れても安心できない大きな理由
森田香央里さんのスマホの中には、仕事柄、たくさんのアプリが入っています。実際に使ってみたり、知り合いに確かめたりして最新のネット状況を知り、仕事につなげる狙いがあります。その中には新型コロナウイルス対策としてCOCOAが入っていますが、そのCOCOAで不具合があったということで、森田香央里さんはがっかりしたそうです。不具合そのものはどのスマホアプリにも起きやすく、ちょっとした不具合は致し方ないものの、重要な機能である陽性者との接触をした際の通知が一切行われなかった不具合が長期間放置されていたことに相当な失望感があったとのこと。国民を守るため、感染拡大を防ぐために作られたアプリが全く機能していなかったことと、なかなか日本のアプリが世界でシェアをとれないことはリンクしているように感じたのです。
LINEに代わる新たなアプリを作り出そうとしても、COCOAですらしっかりとしたものを作れていない現状では、たとえ個人情報が流出するリスクがあっても、LINEから切り替えるのは難しく、これ以上は民業圧迫にもなるので大変です。Webマーケティングを行い、SNSマーケティングなどにも力を入れている森田香央里さんからすると、今回の問題はかなり根が深い話ではないかと考えています。
クラウドネイティブの世界
森田香央里さんはクラウドネイティブに注目しています。そもそもクラウドは、サーバーなどを持たなくてもインターネットに接続すれば情報を預けたり取り出したりするのが簡単にできるもので、このメリットを最大限に活用したサービス、技術がクラウドネイティブです。クラウドネイティブを進めることで運用コストの削減につながるほか、運用管理の仕事からエンジニアが解放されます。こうした動きが日本企業で広まらないのは、システム開発を自前で作ることができない状態にあるとされています。つまり、優秀なエンジニアを自前で確保できず、外部に丸投げすることで自社にノウハウがたまらないこともあるようです。
一見するとマーケティングと関係なさそうですが、森田香央里さんはそこを見ているわけではありません。なぜクラウドネイティブに置き換わらないのかに重きを置いています。日本の組織構造がトップダウンの仕組みになっていますが、クラウドネイティブとの折り合いが悪く、マッチしにくいことが指摘されており、日本の企業体質が質の高いアプリを作るにあたって邪魔をしている可能性を嘆いているのです。
最近になって上質なエンジニアを自前で確保する、育成するようなスタイルを作ろうと、複数のベンチャー企業が立ち上がりましたが、実際にこの企業がシェアを握るまでにはまだ時間がかかりそうです。森田香央里さんは、今後どの企業がどのようにエンジニアを育てて、素晴らしいアプリを作れるかがマーケティングにおいても重要だと考えます。日本人にとって馴染みのいいマーケティング手法を確立するためにも、大事な要素です。