非正規雇用が一般的になり、フリーランスで働く時代が当たり前になろうとしています。そんな中でせっかく正規雇用で採用されたにもかかわらず、様々な理由で早々に辞めてしまう若手社員が少なくありません。ミスマッチで終わることもあれば、想像していた働き方とは異なるケースもあるのでしょう。とはいえ、早々に辞めてしまうことは企業側にとっても、社員側にとってもマイナスでしかありません。
投資用マンション、居住用物件を販売する青山メインランドもその1つ。社長を務める西原良三さんの頑張りもあってここまで順調に業績を上げてきているものの、どうしてもミスマッチはあるようです。そのミスマッチを減らし、離職率改善につながったとのこと。きっかけは動画でした。青山メインランドで何があったのでしょうか。
ユーモアと現実のある動画で自社を紹介する青山メインランド
青山メインランドでは就職説明会で流す動画について、とある制作会社に映像制作を打診します。青山メインランドでの強みを紹介することや、他の企業ではないような存在感のあるものにすること、そして、あえて弱みなどを盛り込んでいくことでミスマッチを減らしていこうという方向性を伝えます。
強みを見せつつ、現実を見せ、それをユーモアで補っていく、そんな要望に対してテレビ番組を作る制作会社は当初説明会で流されることを想定し、控えめな企画を提案。しかし、もっと振り切ったものがいいと青山メインランドから指摘が入ります。その結果、宇宙人などが出てくるなど非常にユニークで、他の企業ではないような動画が完成。ユーモアがありながらも決してユーモアだけではないところがこの動画の特徴です。
通常、採用動画といえば会社のいいところだけを伝え、悪いところは隠そうとします。しかし、青山メインランドの社員たちはいい部分も当然伝えるものの、ネガティブな部分もしっかりと伝えます。その理由は様々ありますが、投資用物件をプレゼンする際、メリットだけでなくデメリットも伝えないと契約までたどり着かないのだとか。いい部分だけでなく悪い部分も伝える、それが説明会で流す動画に含まれています。
正直に伝えるのが青山メインランド流
青山メインランドの社員インタビューや社員の1日に関する紹介を見ると、朝がだいたい9時出勤で帰宅するのが午後11時というタイムスケジュールが様々な社員のところで出てきます。通常、こうしたタイムスケジュールは多少の装飾を行い、働き方改革に配慮したような表現を使うものです。しかし、青山メインランドではそれをしません。むしろ正直に伝えることを心がけており、もしかすると西原良三さんの考えなのかもしれません。
正直に伝えることは青山メインランドのいい部分、悪い部分を知ってもらい、ミスマッチを防ぐ狙いにもつながります。ミスマッチは、こんなはずではなかったと思わせてしまうことで起こりうることです。青山メインランドの説明会でも正直に、夜遅くなること、営業の難しさを伝え、面接でも、青山メインランドの仕事はきついと伝えるなど、選考課程の中で青山メインランドで働く本気度を見ているようです。
西原良三が作った動画が離職率改善につながった
実際にどのような映像があるのか。映像を制作した当時、壁ドンが流行っていたこともあって、壁ドンに関する動画が作られました。イケメンが登場し、実際にいる青山メインランドの女性社員に壁ドンを行い、本音を出してもらうという動画。青山メインランドには女性の管理職が多く、子育てをしながら働く方もいます。女性活躍の旗振りをしなくても最初から女性が生き生きと活躍する環境、それが西原良三さんが作り上げた青山メインランドです。
より多くの女性に青山メインランドの良さを知ってもらい、女性が活躍する環境であることを伝えたいということで、壁ドンの動画が作られます。実際に壁ドンをしてもらうことで、普段仕事中は厳しい顔をする女性社員が軒並みイケメンにメロメロになっていき、社内はその動画に大爆笑だったとか。企画をあまり伝えず、目を閉じて待ってもらい、王子様が質問をするという構図にしたこともあり、本音がどんどん出てきたようです。
説明会ではシビアな話を正直に伝えることがある一方、適宜面白い採用動画を流していくことで、青山メインランドのユーモアな環境、仕事に前向きに取り組む姿勢などを感じてもらい、青山メインランドのイメージアップに成功。結果的に離職率改善につながるなど、多くの成果を叩きだします。
動画の結果、厳選採用の継続につながった青山メインランド
少子化が進む一方、より大企業志向が強まる時代。大企業ではない企業にとっては厳しい状況が続きます。そんな中、青山メインランドでは採用動画もうまくアシストし、質の高い社員を確保し続け、即戦力の新入社員が今までにない営業成績をたたき出すようになったそうです。動画だからこそ伝わること、緊張感のある説明間の合間に動画を流すことで、中だるみすることなく伝えられることが多くあります。
西原良三さんがどこまでこのような戦略に関与しているかはわかりませんが、青山メインランドの社員の質を高めることに、これらの動画がつながっていることは確かです。そして、これらの計画を西原良三さんも当然知っているわけですから、この試みにゴーサインを出したと考えていいでしょう。結果的に青山メインランドの離職率は軽減され、これまでにない営業成績を出す若手社員が登場するなど、採用動画をユニークに作っていく取り組みは大成功だったと考えていいでしょう。
他にも青山メインランドでは、織田信長がマンション経営を行ったらどうなるのかという動画、宇宙人が資産運用タイプのマンションを持ったらどうなるのか、社内にある備品が突然しゃべりだし、青山メインランドを批判していくという今までにないようなものも。他にも、部下が上司から叱咤激励を受けるという、取りようによってはネガティブになりそうな内容もあるなど、硬軟織り交ぜて紹介されています。
隠すことなくすべてをさらけ出すからこそ、青山メインランドとはどういうところかを理解することができ、覚悟を持って入社できます。先の先までをしっかりと見据えた戦略は、現状は功を奏しているといっていいでしょう。
まとめ
西原良三さんが作り上げた青山メインランドは、多くの社員によって支えられ、成長し続けています。以前は採用活動でうまくいかないことも多かった中、動画を作ることでそれを乗り越えることができました。コロナ禍で採用活動も大きな変化を見せる中、正直に伝える、ユーモアを持って取り組む姿勢は変わっていません。西原良三さんの熱き想い、それにこたえられる社員が増えれば増えるほど、青山メインランドは大きな成長を遂げることでしょう。